初めに:なんだかすごく重く、偉そうな文章になってしまったことをご了承ください

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12/11-12、ついにタイはパタヤで「808 Festival」が開催されました。最後にタイで海外DJを招いたフェスが開催されたのは、3/7にBlack CoffeeなどがやってきたHouse/Technoがメインの「Kolour In The Park」、こちらはアジア圏では一番最後に行われたフェスでもあり、実質タイでは世界でも最短で「今までのフェス」を取り戻した国とも言えるかもしれません。

出演DJやそれに反応したファンの多くが、「非現実的な世界」と呟いていましたが、今のこの状況を作り出すまでにはタイに住む人々はいろんな我慢や犠牲を強いられてきました。例の新型コロ助はしっかりと対策をしないといつの間にか人々の中で蔓延し、高齢者を中心とした人々の命を奪っていく厄介なウイルス。今日12/17現在のタイの延べ感染者数は4282人、死者は60人…今や1日で3000人以上、東京だけで800人の新規感染者が発生する日本との境目はどこにあったのか、早く世界中で自由にパーティーができるようにと祈りつつ、タイで行ってきたことを紹介します。

はじまり

タイでは中国以外の国で最も早く1月にうちには感染者が発見された国でした。1月下旬以降、中国からの観光客はピタリと来なくなり、中国人渋滞が発生してた各地の観光地はシーンと静まり返りました。フェス関係では、2月上旬にプーケットで開催された「Unkonscious」で中国からの参加自粛要請が出ていました。当時、中国からの入国ウェルカムしてた日本とは対照的です。その効果もあり、タイ国内の感染者は1日あたり数人程度で推移していました。
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Unkonscious、毎年プーケットで開催されるトランスフェス

ロックダウン開始

3月以降、中国以外にもコロ助が広がり始め、日本でも感染者が増えてきました。これまで検疫を強化していた中国からだけではなく、日本などからの入国者で感染が判明しているケースが出てきて、一気に対策を強化します。3月中旬、ムエタイスタジアムやパブ、クラブで大規模クラスターが発生して、1日の感染者数が最大188人(3/22)まで増えました。これを機に…
・ナイトライフ、ショッピングモール、スポーツジム、ヘアサロン等の閉鎖(コンビニと薬局はオープン可)
・レストランの営業はテイクアウトのみ(野外の屋台は営業可)
・感染危険地域から(日本の一部も含む)の入国禁止
・陸路国境の閉鎖
・不要不急の県外への移動の制限

が行われ、パタヤやプーケットなどでは、当該エリアからの出入り禁止というより厳しい処置も行われました。また、公共施設や乗り物ではマスクが義務付けられるようになりました。乗り物では、座席を間引きするなどのソーシャルディスタンス処置がとられました。
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リモート推奨のため大幅に空いたMRT。一席ごとに座るようにバツ印がついている

「タイ正月」の延期

折しも4月の中旬のソンクラン(タイ正月)が近づいてきた時期です。もちろんソンクランのフェス、イベントはすべて中止です。中国における旧正月に伴う旅行がコロ助拡散の一助になったと考えられ、政府はより厳しい制限を課していきます。
・夜間外出禁止令
・酒類販売禁止令(飲み会の開催が感染機会になると考えられた)※5月後半には解除
・公園の利用禁止
・海外からの商用フライト乗り入れ全面禁止(帰国便は利用可能)

そして、極めつけが「ソンクランの延期」です。可能な限りリモートで、タイ正月は平日として普段通り仕事しなさいというものでした。この連休は後に振り替えられます。この厳しい処置が功を奏したか、5月後半以降タイ国内で新規感染者数はゼロになりました。
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これ全部なくなりました…

ゼロ2か月後の「Go To」

上記規制は6月以降徐々に緩和されていきます。ここで重要なのが「Thai Chana」というアプリで、オープンするお店はQRコードを取得し、利用者は必ずチェックイン、チェックアウトしないといけないシステムです(同時に検温もあります)。万が一感染者が出た場合の追跡や濃厚感染者への通知のためです。ここまでやってもいきなり元通りというわけではなく、例えば、レストランはテーブル1つにつき1人とか、向かい合わせの席には衝立を立てるといった段階を踏んでいます。7月にはナイトライフも解禁され、当初は0時までの時間制限付きでしたが、これで一応すべての業種がオープン可能となりました。そして、国内感染者ゼロが2か月を超えた7月末に、ソンクラン代休を加えた4連休が実施、タイ国民はホテルなどが格安で泊まれる日本の「Go To」と同じようなキャンペーンを実施し、久々に各地が観光客で賑わいました。
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7月のチェンマイ(上)とパタヤ(下)インバウンド頼りのパタヤは現在に至るまで壊滅状態が続いている

現在も続けていること

最近、ミャンマーからの密入国者がコロ助を連れてきてしまい、国内で感染者が出るなど先行きが怪しくなっていますが、今でもマスクなしではどこにも乗れない、入れないし、どこに行くにも検温があります(最近手のひら自動検温スタイルが増えてきて、携帯触った熱い手で37.5度以上出てしまってもスルーされるのは問題な気がしますが)。また、「Thai Chana」のチェックインも最近は疎かになりつつあり、コンビニではチェックイン言われることはなくなりました。しかし、フェス会場はさすがに厳しくチェックを促されましたね。これだけコロ助の脅威が減ったといっても未だ世界では猛威を振るってるし、世界でどのタイミングで開催できるかを図る一種の実験のようなものでもありますから。
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808FesのゲートにあったThaiChana

なお、海外からの入国者に関しては、就労ビザなど入国可能なビザを持っていることが前提で、入国後の隔離先=ASQホテルの予約も自分で行い、一定額以上の保険に加入し、出発の72時間前に発行された院生証明を発行してもらい、特別便に搭乗し初めて入国ができます。その後、14日間の隔離(まったく部屋から出られない)を経て晴れて自由の身になれるのです。フェスに参加したすべてのDJもこの隔離を経てパフォーマンスをしてくれました。

規制の裏側で…

これだけカチカチに規制したからにはそれなりの補償があったのかと思われそうですが、実際はほとんどありません。自分が受けた恩恵と言えば多少所得税が少なかったくらいでしょうか?電気代が大幅に割引になったという話を聞きましたが、自分は普段通りでしたし…しかし、補償がなく生活が困窮して人生に悲観したのか、今年上半期だけで自殺者数が20%増えたといったニュースもあります。一方で、食べることもままならない人が増えてくると考えられ、街中に登場したのが「助け合いボックス」。余裕ある人が自由に食べ物を入れて、食事のできない人が自由にそれを持っていけるシステムができました。まさに「自助」ですが、徳を積むことで自分にも良いことが回ってくるというタイ人の仏教の宗教観から来てるものかもしれません。

現在も海外の状況はますます悪化する中で、インバウンドを扱っていた観光セクターの回復見込みが立たないとはいえ、日常生活はほぼ普段通りまで立て直した現政権はもっと評価されてもよさそうですが、クーデター後にイカサマ選挙で成立した政権で、しかも国民の税金を積み立てた王室資産管理局の資産を普段国内にいないでお付きの女性陣とハーレム生活を送っているx様(不敬罪に問われるので伏字で)の個人資産にしてしまったものだから、学生を中心に反政府、王室改革デモで退陣を迫られてる始末。コロ助対策で何一つ成果をあげてないどころかGo Toと入国者規制緩和でますます状況悪化させているのに支持率50%以上で安泰する日本の内閣にはもっと怒ってもいいんではないですかね?なお、アメリカでは大統領選の集会でコロ助拡大したなんて話もありますが、タイで万単位でデモを行っても感染者が増えたりなかったので、これは本物かなと思ったりもしました。
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複数回に渡って1万人を超える大規模デモが起きたが、それをきっかけに新規感染者が増えることはなかった。(写真はTwitter@freeYOUTHthより)

健康より大切なものはない

さて、いつも通りツイッターを徘徊していると、この期においてまだ東京のパーティーの告知とか見かけますがいかがないものでしょう?ここまで増えてしまったら2か月で収束できるようなレベルでないのは誰の目にも明らか。すべて閉鎖して感染ビタ止めするのはもう無理でしょうが、せめて医療関係者が一息つけるまではすべて止めるのも一つの方法だと思います。他にマスクの義務化やリモートの促進、食事にしてもテイクアウトのみにするとか、まだやれることはたくさんあると思います。自分は若いから死なないし平気って思ってる人は、もし自分が無症状感染者で親や祖父母の移したらってことも考えてみてください。ちなみに軽症でも味覚障害や身体の怠さは長期に渡って続くことも多いそうです。おいしいお酒を飲めず、好きなDJが出ても息が上がっちゃうんじゃしんどいでしょう?今我慢したら半年で元に戻れるかもしれませんが、このままなら2年たってもまだコロ助とのお付き合いが続くかもしれません、その頃にはワクチンや治療法も確立されてるかもしれませんが、コロ助も進化するので、どうなることやら…とにかく今は、もらわない、うつさない行動が重要だと思います。

では、次の記事ではフェスの様子を紹介しますね!!